DeepLお客様事例:LegalForceとDeepLが連携、 翻訳API活用によりプロダクト価値向上を実現

株式会社LegalOn Technologiesについて

「法とテクノロジーの力で、安心して前進できる社会を創る。」
というパーパスのもと、AI契約審査プラットフォーム「LegalForce」、AI契約管理システム「LegalForceキャビネ」を提供しています。


会社名:株式会社LegalOn Technologies エンジニアリングマネジメントグループ ディレクター 翁 松齢 氏
 プロダクトマネジメントグループ ゼネラルマネージャー 山田 泰造 氏

取材日:2023年7月6日

Photo showing Shorei O from LegalOn

最初に、お二人の現在の役割やこれまでのご経歴も含めて自己紹介をお願いします。

翁:私は株式会社LegalOn Technologiesにてエンジニアリングマネージャーを務めています。
 経歴としては、エンジニアとしてキャリアをスタートし、大手のIT企業で課金系システムの開発やデータ活用・分析、経営管理システムの内製化などに従事してきました。その後、前職では、IoTデバイスを開発するベンチャー企業で2年半ほどCTOを務めました。
 2022年にLegalOn Technologiesに参画してからは、LegalForceの開発責任者を務めており、今回の翻訳機能や、ChatGPTのAPIを組み込んだ条文修正アシストのような機能も担当しました。また、LegalForceをベースにした米国向けのAI契約レビューソフトウェアであるLegalOn Reviewの開発にも携わっています。

山田:私はLegalForceのプロダクトマネージャーとして、今回リリースをした翻訳機能や、ご利用企業様が過去に蓄積したナレッジを活用して審査をするような機能を担当しております。金融機関で法人融資の営業や審査業務に従事した後、フィンテック企業で金融機関向けサービスのプロダクトマネージャーを担当していました。
その後、LegalOn Technologiesに参画して1年ほど経ったところです。

貴社の事業内容に関して教えてください。

翁:LegalOn Technologiesという社名が体を表わしていると思いますが、リーガル領域でのITシステムを手掛けている企業です。LegalForceとLegalForceキャビネという2つのSaaSプロダクトを提供しております。

LegalForceはドラフト段階の契約書をAIでチェックして、どういったリスクがあるのか、それは許容可能かどうかといったことを判断をサポートする「自動レビュー 」機能がベースになっているAI契約審査プラットフォームです。

LegalForceキャビネは、契約締結済の契約書をアップロードすることで、契約の当事者や締結日、期日、自動更新の有無といった契約書の重要な情報を抽出し、契約書を管理できるサービスです。Excelシートなどで管理しなくてもLegalForceキャビネが自動的に契約を管理してくれるという製品です。

「法とテクノロジーの力で、安心して前進できる社会を創る。」というのが我々の会社のパーパスです。ここで言う「法」とは、単純な法令にとどまらず、世の中の自然法や、会社の中のコンプライアンスなども含めての「法」という捉え方をしております。そこに対してITでアプローチしていくということを今後もやっていこうと考えています。

また、先ほど触れた通り、米国を中心としてグローバル展開も着手しており、世界的なリーガルテック企業を目指しています。

Photo showing Shorei O and Taizo Yamada

LegalForceとLegalForceキャビネはどういったお客様がご利用されているのでしょうか。

翁:大企業から中小企業まで、多くの企業で使っていただいています。LegalForceは法務部門の方に使っていただくケースが多いですが、LegalForceキャビネは、より様々な部門にご利用いただいています。契約書の管理は、必ずしも法務部門だけではなく、総務部門で行っていることもありますし、契約書を参照するニーズは事業サイドにもあります。今後もさらに幅広くご利用いただけるように製品開発をしていきたいと考えています。

グローバル展開というお話もありました。日本とはマーケットの状況が異なる米国で、どういったアプローチでプロダクトをご展開されているのでしょうか。

翁:LegalForceをベースに開発をしています。
日本であっても、米国であっても、法務部門のオペレーション自体は
本質的にはあまり変わらないと考えています。

ただ、AIが契約書をチェックする際に、必要となる法務コンテンツは新しくつくる必要があります。
例えば日本とアメリカで、審査対象になることが多い契約書は
異なります。我々は「契約書類型」と呼んでいますが、
類型の中でも日本でしか需要がないものや、アメリカでしか需要がない ものもあります。また、法令も異なるので、かなりコンテンツのチューニングは必要になります。アメリカ独自機能のニーズも確かにあるものの、 システム自体はそれほど大きく変えなくてもよいのではというのが我々の見通しです。

Photo showing Taizo Yamada

今回、英文契約書の和訳を見ながら契約審査が可能になるという翻訳機能がリリースされましたが、こちらに関してお話をお聞かせください。

山田:LegalForceでは、審査をする契約書に対して、
AIがリスクを洗い出し、 指摘を表示する機能があります。 今回、翻訳機能がリリースされたことで、英文契約書審査をする際に指摘と英文和訳を同時に照らし合わせながら見ることができるようになりました。

翁:もともとLegalForceには「英文レビューオプション」というオプション機能があります。そのオプションを契約すると、英文の契約書もレビューすることができるようになりま す。 ご利用頂いているお客様の中には、ぱっと見で英文の契約書の内容を理解したいというニーズがありました。そこに対して、翻訳機能を提供すればお客様への価値提供になるのではないかと考え、今回の翻訳機能導入の判断に至りました。

AI翻訳のエンジンとしてDeepLを選んで頂いた決め手やご検討のプロセスについてお聞かせいただけますでしょうか。

山田:弊社でもともとWeb版のDeepLを使わせていただいており、DeepLについては把握していました。個人的にもDeepLは日常のコミュニケーションなど、様々な場面で使用しています。今回のLegalForceへの翻訳機能導入にあたっては、いくつかの翻訳エンジンと比較をしましたが、翻訳スピードが特に速く、精度も高いというところがDeepLを選択する決め手になりました。
 加えて、対応言語の多さや、DeepL Writeのような先進的な取り組みを行われている点もあり、今後LegalForceとして機能拡張していく際に、連携できることが多いのではないかと考えてDeepLを選ばせていただきました。

翻訳機能をリリースされてからお客様の反応はいかがでしょうか。

山田:お客様の反応はとても良好です。英文レビューオプションを契約しているユーザーの方々に、翻訳機能ベータ版のご案内をしたところ、すぐに100社以上の企業様からご返答を頂きました。
弊社の営業からも、お客様のフィードバックは良好と聞いております。

英語が得意な方であれば、従来から提供していた英文レビューオプションで対応できていたところも多いとは思います。一方で、英語が苦手な方に関しては、LegalForceと同時に、何かしらの翻訳サービスを使われている方も多く、LegalForceで指摘を見ながら翻訳サービスで和訳を見るという画面の切り替えや、LegalForceにアップロードした契約書をもう一度翻訳サービスにアップ ロード、コピー&ペーストするという手間がかかってしまっており、LegalForce内での翻訳機能にニーズがありました。また、無料翻訳サービスを利用した場合の情報漏洩を懸念される方もおり、今回貴社と組んで機能を提供したことによって、そこも解決できたのは大きかったところです。

翁:企業の法務部門では、何かしらすでに翻訳サービスを契約されているお客様も多くいらっしゃいました。ただ、日常的に利用いただいているLegalForceの中で翻訳も完結するということに価値があると思ってくださるお客様も多く、今回LegalForceの中に翻訳機能をパッケージングできたというのは、非常に意味のある開発だったと思っています。APIを提供頂いていて、情報の完全性や機密性という点の懸念がクリアできたのも非常に価値が高かったと改めて思っています。

Photo showing Shorei O and Taizo Yamada in front of LegalOn Technologies sign

今回DeepLのAPIを活用してのプロダクト連携となりましたが、連携を進められる中で感じられたことがあればお聞かせください。

山田:DeepLはAPIを公開されているので、まだ翻訳エンジンをどれにしようかと検討している段階から検証を始められたところが良かったと思っています。早い段階からドキュメントを見て、同時にAPIを触ってみるというところまでできたのが、スピーディーなリリースにつながりました。

翁:スピード感を持って我々のお客様に価値を提供していきたいと考えたときに、サードパーティの企業と連携して価値提供をしていくことは、
今後ますます重要になっていくのではないかと考え ています。 今回3カ月程度という期間で、DeepLさんのプロダクトを組み込み、お客様に価値提供をすることができました。自社開発の機能を研ぎ澄ましていくのももちろん大切ですが、世の中の優れた技術やサービスを提供されている会社さんと臨機応変に、Win-Winの関係を築きながら製品を発展させていく必要性を改めて強く感じています。

今後取り組まれていきたいことをお聞かせください。

翁:LegalOn Technologiesでは、今回の翻訳機能だけではなく、今後も生成系AIなど、 新しい技術も積極的に製品に組み込んでいきます。グローバルに事業展開を進めていくためには、常に最新の技術にアンテナを張り、お客様に価値提供を行うための方法を模索することが 必須 だと考えています。こういった先進技術やグローバルビジネスに関心のあるエンジニアの方にとって、魅力のある製品開発や会社にしていきたいです 。


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