日本航空電子工業(株)が取り組む事業変革、
情報セキュリティと
AI活用

最近、JAEの情報セキュリティ管理室の室長である伊藤隆司氏に、同社がDeepLのようなAIツールを活用してグローバル展開を拡大している方法について詳しくお話を伺いました。

重要なポイント

  • 航空電子機器メーカーのJAE、DeepLを利用して海外の顧客やパートナーとの多言語コミュニケーションを効率化

  • DeepLの効率的なAI翻訳を活用し、JAEは海外進出を拡大中

  • JAEの情報セキュリティ管理室は、機密コンテンツの安全な翻訳を可能にするDeepLの優れたデータセキュリティポリシーを高く評価

業界
製造業
DeepLのプロダクト
DeepL Translator
主な市場
北米, ヨーロッパ, アジア
主な言語
日本語, イギリス英語, アメリカ英語, ドイツ語
伊藤様の現在のご所属と役割についてお聞かせください。

当社参画時は、航空電子ビジネスサポートというグループ会社でITエンジニアとして勤務していましたが、昨年情報セキュリティの専任部隊、統括室をつくるということで日本航空電子工業に。

2023年4月からは、その部署の統括室室長になり、日本航空電子グループ全体の情報セキュリティに関する方針づくりなどを進めています。

情報セキュリティ統括室としてのお取り組みについてお教えください。

社員の情報セキュリティに対する意識向上が、情報セキュリティの対策として必要不可欠な要素であるため、そういった対策は必要であると思っています。それも踏まえて中期計画を策定し、全社に普及をさせるべく活動を行っています。

地域ごとに情報セキュリティに関する危機感や対応も違っています。ヨーロッパはGDPRへの対応などもあり、諸外国よりも一歩抜きん出ている一方で、アジアはこれからという地域もあります。地域ごとに差はあるのですが、守るべきデータは同じです。その中でどうするべきかというのは考えなくてはいけないポイントの1つです。

また、最近はクラウドサービスを社員の皆さんが使い始めていますが、利用について統制が取れるように社内での管理に取り組んでいます。

チャットボットやRPAの導入、DXの推進など新しい取り組みにも従事されていたということですが、最近注目をされているテクノロジーなどがあればお聞かせください。

生成系AIは、使い方次第では面白いものだと思っています。ただ、それを企業で正しく使うためには、社内でどういう規定をつくればよいかといった話があります。セキュリティを扱う人間としては、悪用されるのが怖いと思っています。生成系AIが悪用されると、今とは次元の違うサイバー攻撃が行われるようになると言われています。

一方で、インターネット上の情報を集めてきて要約させるような使い方は面白いと思っています。記事の要約などにも活用できます。そういった使い方であれば、社内の機密情報を入力する必要はなく、セキュリティ面での懸念もないので、業務効率化などに繋げられると思います。

貴社内でAI翻訳、機械翻訳を活用するニーズはどういったところにあったのでしょうか?

  • 海外とのやりとりが多い営業のメンバーが、そのコミュニケーションに関わるメールや文書などの翻訳に苦労していたという背景がありました。無料のウェブ翻訳サービスを使うなどはしていたのですが、社内の機密情報を入力するのは難しいため、その部分だけ別のワードに置き換えるなど苦労していました。
  • また、IT部門が海外グループ会社とやり取りをする際に英語で資料を作らなくてはならないこともあります。社内にトランスレーターの方はいるのですが、資料のタイムリーな英語化が難しいという課題がありました。そこでコミュニケーションが阻害されるのは良くないという意見はありましたが、具体的なソリューションを見つけられていない状況でした。

そんな時に、偶然DeepLの話を聞きました。イギリスに出張に行った際に「DeepLというサービスがあるので、それを使えば英語での資料作成が楽にできる」と現地スタッフから話を聞いて、DeepLに問い合わせをするに至りました。後々、日本の本社内でも聞いてみたところ、何人か無償版をすでに使っていたことがわかり、情報セキュリティ室で一括して広く部門を跨いで社員がDeepL を利用できるにようにしました。

DeepLのようなソフトウェアを社内全体で横断的に導入するというのは難しいところもあったかと思います。導入を推進される方へのアドバイスがあればご教示くだい。

ソフトウェアの横展開というのは必要以上に仰々しくなってしまうこともあるので、今回はセキュリティの側面からアプローチしています。セキュリティの観点で、機密情報や社外に漏えいさせてはいけない文書を翻訳するときはDeepLを使ってくださいという案内を全社横断的にしました。

DeepLの概要や料金をまとめた資料を作り、各国、各社のIT管理者と連携し、展開したところ、良い反応が得られました。

まずは無償で使ってみた上で、その実績を各社、各部門に展開するとわかりやすいのではないかと思います。「無償でこれだけの品質があって、有償にした場合はそれに加えて、セキュリティが強化される」というアプローチも悪くないのではと思います。

最近では翻訳ソフトを提案すると、生成系AIのほうが良いのではという話になりがちですが、セキュリティの話を絡めるとDeepLの利用について納得は得やすいと思います。

他社様の話を伺っていると、社内で上申されたり、広く利用を募ったりされる中で、ROI(費用対効果)の説明に苦労されている印象があります。どのようにROIを算出されていますか?

個人的にはDXやクラウドサービスは費用対効果が測れないと思っています。集中管理をして、お金を払っている以上はその効果が実感できる必要はあるので、社内のアンケートなどは定期的に取ったほうがよいと思います。ただ、それで費用対効果まで測れるかというと難しいと思います。

「費用対効果が測れなければシステムを導入してはいけない」という考え方を持っている方も多いと思いますが、そのような考え方をすると、どんどん他国に遅れをとってしまうので、良い製品は早く使う方が良いと思います。

もちろん、お金をいくらかけても良いというわけではないですが、月数千円で自分の作業が効率化できるのであれば、投資すべきだと思います。

実際にDeepLを導入されて、得られた効果についてお聞かせください。

英語の資料を作る際に、日本語の資料をPowerPointファイルのままDeepLにアップロードして、英語化するという使い方をしています。これまで人力で翻訳を行い、1週間かかっていた翻訳を待たずに、即座に資料を送付できるようになりました。本来、資料を送らなくてはいけないにも関わらず、忙しくて送れなかったということも減り、情報共有やコミュニケーションの粒度が以前より上がったと思います。

私自身、DeepLを利用する前は1つの英語資料を作るのに何日もかけていたのですが、DeepLを使い始めてからは、約1日でできるようになりました。

PowerPointをそのままアップロードして、ある程度資料の翻訳ができるので、非常に便利だと思っています。

それ以外にも、取引先からのメールを翻訳する際にも機密情報も含めて、一度に翻訳できるので効率が上がっていると思います。監査室もDeepLを使っています。

目的はそれぞれですが、皆さん色々なところで、資料の読み書き、メールの読み書きといったことを行っているので、そういうところでの作業時間の短縮に繋がっています。

DeepLをご導入いただき、社内ではどういった反応ですか?

導入して4カ月ほどになりますが、利用しているユーザーの方々からの評価は非常に高いです。

機能的には、特にファイルの翻訳機能が便利です。PDFを翻訳したいというニーズが多かったので重宝しています。私もPowerPointで英語の資料を作ることが多いので、作業時間が効率化されて楽になったと感じています。

そのほかにも、Edgeのエクステンションでページを丸ごと翻訳できる機能は評判がいいです。

品質以外にも、グローバルでサービスを展開されているという点も評価しています。セキュリティの観点では、本社がヨーロッパにありGDPRを遵守されているというのは重要です。また、アメリカ英語とイギリス英語がはっきりと分かれていたり、広い言語が対象となっていたりするので、日本以外の各国にも展開しやすかったです。

今後取り組まれたいことをお聞かせください

私は現在、情報セキュリティの部署にいるので、生成系AIの話やマシンラーニング(機械学習)のような最新の技術のセキュリティをどう理解、評価し、社内利用可否の判断をするのかが、取り組むべき課題だと感じています。もちろん、まずは自社のセキュリティ対策強化をしっかりと行う必要があると考えています。その上で、関連領域のセキュリティについては情報収集や、業界での情報共有もしていきたいと思っています。

  • 14カ国
  • 18の連結子会社
  • 航空電子工学における70年の経験
  • 文書翻訳効率の86%改善
  • 9,000人以上の従業員

DeepLの導入に関するお問合せ

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